田宮系猪犬による実戦

 

訓練だけでは名犬に仕上げることはできません。猪犬を仕上げて猟場で思い通りに獲物を引き込めばどんな猪でも簡単に仕留められます。

 

仔犬の引き綱訓練がしっかりできたら、次は実戦訓練ですが、猪犬には「鳴き芸」、「噛み芸」といわれるものです。これは実践の繰り返しで猪犬が自分から編み出していきます。先導犬ならば、どんな調教師や猟師が「猪の頭から行けば危ないから足に行け」と教えても、頭や耳に噛みついて絶対に離しません。誰も教えないのに体を猪にピッタリ付けて自分を守ります。

 

鳴き芸も猟師が教えてできるものではなく、猪犬自体が持っている猪犬の天性です。これが名犬と言われる田宮系猪犬の特徴です。ここで猟師として猪犬に対してしなければならないことは、猪を必ず撃ち取ること、そして愛犬を褒めることで猪犬はどんどん成長します。猪を撃ち獲れず逃してばかりいると、追うだけの「追い犬」になってしまいます。