猪を見たことがありますか、薮の中などの猪が動かずにじっとしている時には猪を探しだせません。
それだけ猪は保護色で周りに溶け込んでいます。ベテラン猟師でも30m以上離れていると猪を探せません。そこで猪猟は猟犬の出番になります。猟犬の嗅覚は人間の100万倍といわれています。猪の臭いを即座に嗅ぎ分けます。
- 猪を感じた猟犬は猪に向かって(猪のいる方向を示して)吠えます。その先に猪がいますが、先ほどのようによほどベテランでなければこの時点で猪を見つけるのは難しいです。犬にほえられても猪はすぐには動きだしません。小さな猪ですと動き回るのもいますので、ここで仕留められる腕をお持ちの方は、人や猟犬の安全を確認した上で発砲してください。
- 犬の声を聴いて主人が近くに来れば、猟犬は猪に噛みつくために、30m~20mまで近づきます。ここで猪が動きますが鹿のように素早く逃げることはありません。鹿に比べたら比較的ゆっくり動きます。こちらに向かうことが多々ありますが、向かってくる猪の頭を狙って直ぐに打ってはいけません。20m先の猪の頭を狙ってもまず当たりません。猪突猛進という言葉にあるような直進しかできないというイメージは誤りで、急発進や急停止、急な方向転換もできます。また、飛ぶより潜り抜ける習性があり、20cmの隙間があれば成獣でも潜り抜けます。猪の走り方はよく見ると、頭をまっ直ぐにして走るのではなく、短い前脚と後ろ足を揃えて交互に動かすので太った体ですから頭を上下左右に振って走ります。
- この猪も10m位に近づいたら大声を出して1発目を発砲します(10mなら当たると思いますが)もし外れてもこの声と銃声で左右どちらかに人を避けるように急に曲がります。ここが2発目の発射のタイミングです!首、胸(心臓)を狙います。弾が当たっても鳥のようにボトンと落ちるとか、コロリと倒れるものではありません。走ってきたスピードがあり20mから50m走る猪もいますが、弾が急所に当たっていれば走った後必ず仕留められます。猟犬が追いかけてくれますから、見失うこともありません。半矢にした猪でも血の臭いを嗅ぎ分けて猟犬が追いますので、探し出すことは難しくありません。10mの1発目で外して、まだこちらに向かってくれば、2発目を打ちますが、直ぐに自分の方で避けてくださいください、当たっていても直進してきます。
- 猟犬がこちらに向かわずに猪を追い詰めたら、猟犬は猪に噛みつきます。訓練した猟犬は猪の後ろ脚に噛みつきますから、近づいて、止め刺しを(至近距離で銃口を地面に向けて猪を狙い打ちます)します。猪犬が噛みつき暴れていますから、猟犬を打たないように相当近づいて刺さなければなりません。
これが猪猟の簡単な説明です。取れた獲物は持ち帰りますが、山奥で捕まえると、道路など下まで降ろすのが大変です、ベテランはそこまで考えて猟をします。